特集

2017年 第14回ショップスタッフディスプレイコンテスト(平成29年秋~29冬)

2017年 総評[審査委員長 空間プロデューサー 椎野伝一氏]
JSA大賞ディスプレイコンテストが14回を迎えました。ここ数年、各参加店のプレゼンテーション?が数段アップしているように感じています。以前のようにただ商品を置いてあるだけというものはほとんどなく、ファッショントレンドを上?に取り?れ、コーディネートや?使いに洗練されたものが目?ちます。
しかし、良くできたディスプレイが数値の向上に結び付いているかと問われると、必ずしもそうではないかもしれません。陳列商品を目?つところにディスプレイすれば、それらが売れるのは誰にでも理解できます。
皆さんは「ディスプレイした商品が売れる」だけで満足していないでしょうか。
ディスプレイのやり方を変えたら、
①?店客数が増えた。
②店や売場全体の売上げが上がった。
③商品の回転率がよくなった。
④プロパーでの消化率がアップした。
などの効果が明らかに生まれる。それが本当の意味での「売れるディスプレイ」です。
ディスプレイは単なる提案というだけでなく、売るための仕掛けであることを忘れてはいけません。
そのためには
??店の主?商品は何か?
②ライバルに差を付け、?店の特徴を最も表現できる商品は何か?
?主?となるのはどんなお客様か?
④?店のスタイリング(着こなしやコーディネート)の特徴は何か?
など、ディスプレイは?店の商品計画、販売計画に基づいたものであることが重要です。
ディスプレイ商品は、他に比べて何倍も速く売れます。従って、その商品は前もって在庫を増やすか追加ができるように準備をし、販売チャンスを逃さないようにしましょう。そうでなければ単に早く売り切れたというだけで、全体の売上増に貢献できたことにはなりません。
売場作りやディスプレイは、?店の政策やトータルな品揃えコンセプト、商品の特徴やセリングポイントをお客さまに伝えるための極めて有効なツールです。近年課題となっている?件費コストの削減だけでなく、?材不足への対応にも役?つでしょう。ディスプレイやPOPは第2の販売員なのです。
これまで?がこなしてきたお客さまへの様々な情報提供業務が、売場作りやディスプレイで可能ならば、販売スタッフの作業量軽減になり、結果として本来の接客そのものに集中できることにもつながっていくのではないでしょうか。
2017年受賞作品

大賞 メルボメンズウェアー テーラーフィールズ渋谷店
クリスマスと言えば赤やグリーンの演出が多い中、ブラック&ホワイトに絞り込むことで他店との差別化が図れているだけでなく、メンズフォーマルというイメージがより強調されている。ボディへの差別化や関連アイテムの陳列も隙がなく、演出空間での商品配置も完璧。自店の商品を大切にする気持ちが如実に表れているディスプレイ。

優秀賞① 東京鳩居堂 銀座本店
和のクリスマスのお手本とも言える演出。鳩居堂恒例の干支をモチーフにしたウインドウだ。戌年ということで、笊をかぶった犬張り子をモチーフにしたところがユニークで面白い。笊の素材である「竹」と「犬」と合わせて「笑」と読ませるちょっとした「なぞかけ」も前を通るお客様の興味を引くアイデア。

優秀賞② 新宿高野 新宿本店B1課
テーマは「無病息災!商売繁盛!フルーツいっぱい宝船」。縁起物というだけでなく見た目の華やかさでお客様の目を引くディスプレイ。御朱印収集やパワースポット巡りなど近年の神社ブームをけん引する若い方たちへのアピールと言う意味でも客層拡大に寄与するだろう。

アイデア賞 ライトオン おやまゆうえんハーヴェストウォーク
主力アイテムであるジーンズを積み上げてツリーに見立て、赤や緑、黄色などカラフルなソックスをオーナメントにしたアイデアいっぱいのディスプレイ。ジーンズのカラーを一色にまとめたことで、遠目からのインパクトが増し訴求力のある演出につながった。

MD賞 ニシザワ ベルシャイン駒ケ根店
エスカレーター横、主道路沿いに展開するプチギフトコーナー。ややもすると乱雑になりがちな雑貨だか、アイテムを絞り込んでグルーピングを明確にしたことですっきり整理整頓された印象のコーナーになった。同じ大きさ、形のPOPを規則的につけて全体の統一感を出している。ついつい立ち止まって見てしまうディスプレイ。

ベストカラー賞 ホットマン 大丸神戸店
タオルの演出と言えばカラーバリエーションを見せるものが大半だが、あえて白一色に絞り込みことで逆にコーナーの存在感を増すことができた。他店との差別化が図れるだけでなく、より上質なイメージの表現に成功。コットンボールの演出も素材の確かさを伝えるのに活かされている。

コーディネート賞 銀座マギー 東急百貨店たまプラーザ店
テーマは「ホワイトクリスマス」。展開商品を白一色にすることで、アイテムのバリエーションを際立たせることができた。ボディを使った演出だけでなく関連するアイテムを周辺に配することで、品揃えトータルでの訴求ができている。複数購買の促進にもつながるディスプレイの好例。

審査員特別賞 JEUGIA (企業受賞)
初参加の㈱JEUGIAから、京都・大阪・滋賀の音楽教室38店舗の応募があった。実際の商品がないことからサービス業はディスプレイへのハードルが高いなか、その重要性を理解し、全社レベルで取り組む企業努力に対して「初チャレンジ賞」が贈られる。音楽教室のキャラクターを使った訴求はアイデア満載、主力ターゲット幼児だけではなく、音楽を楽しむ大人たちの心をも和ませることだろう。

入賞 アッシュ・ペー・フランス Theatre H.P.F 銀座店
規則的に並べられた椅子が劇場の空間を演出。壁面部分を暗くして商品にスポットを当てた照明も効果を生み訪れる人の気持ちをワクワクさせる。座面のブルーがアクセントカラーとして目を引く。

入賞 イワキ 船橋東武店
テーマは「Woman’s Party」。全体を白とピンクで統一、遠目からのインパクトがあるのはもちろんだが、老眼鏡の訴求とは思えない若々しさを感じさせる。什器を積み上げて作ったケーキも完成度が高く、ブランドのイメージにマッチしている。

入賞 杉野学園 ドレスメーカー学院 購買部
ツリーやリースなどのクリスマスモチーフではなく、クマのぬいぐるみとハート(手作りのペーパークラフト)を使ってカワイイ雰囲気を演出。オリジナリティが感じられる、新鮮な表現となった。

入賞 田中興産 シェル・サージュ たまプラーザテラス店
カラフルで小さな雑貨の訴求には、他の演出ツールの色目を絞り込みシンプルに見せることが肝要だ。テーブルクロスや後方のツリーやオーナメントをモノトーンにしたことでその効果が発揮されている。

入賞 虎屋 池袋西武売店
テーマは「秋の味覚」。山吹色で模した様々な秋のモチーフを型抜きし、明りを灯したもの。演出物の色を絞り込み、もっとも視認性が高い黒を背景にして見せることで、とてもインパクトの強いディスプレイになっている。

入賞 ドンク TOKYO-BAY ららぽーと店
テーマは「パンで楽しむクリスマス」。ミニクロワッサンで作った五つのツリーが遠目からのアテンション効果が高い。老若男女、誰もが近づいて見てみたくなるディスプレイとなっている。

入賞 ブティックシマ イオン江別店
テーマは「雪国をコートで楽しもう!」。雪の結晶など手の込んだペーパークラフト、特に葉っぱのアーチがお客様の目を引く。淡いピンクと白の組合せが絶妙で、インパクトのあるプレゼンテーションに仕上がっている。

入賞 メーカーズシャツ鎌倉 丸の内店
トルソーに持たせたマリオネットが居間にも動き出しそうな、見るだけで楽しくなるウインドウ。星柄の真っ赤なボールがアクセントになり、クリスマスのイメージがしっかりと表現されている。ネクタイの柄を統一したことで、商品のカラーバリエーションがより強調された。

入賞 山野楽器 サウンドクルー宇都宮
自然の中に光るギターと真空管アンプという素材のミスマッチが見る人の興味を掻き立てる、アイデアいっぱいの斬新なディスプレイ。ブッシュ(茂み)の中に入ったギターが遠くからも目を引く。