大賞 イワキ イワキメガネ聖蹟桜ヶ丘京王店
クリスマスシーズンということで教会をイメージさせるステンドグラスとキャンドルを活用した遠目からも目につくプレゼンテーションです。クリスマスイルミネーションに人が集まり、夜景がデートの人気スポットになるなど、人は光るものに惹かれるという傾向があると言われています。
沢山のキャンドルの煌めきが多くのお客さまのアイキャッチャーになること間違いなしです。
またイワキ各店で使用している陳列ボックスに施したステンドグラスをイメージした装飾の仕上げの完成度に感心しました。
大賞 イワキ イワキメガネ玉川高島屋SC店
レイバンの二大定番モデルであるアビエータとウエイファーラーをクローズアップした上で、全体の色調を赤×黒×白の3色で纏めたことで、ひと目見てレイバンを想起させる演出ができています。いかにもレイバンファンの気持ちを引き付ける訴求になっています。共通ツールであるフレームも数多くの映画シーンで使われてきたレイバンを意識してフィルムをイメージした設えにしたり、ロックシーンでの活躍を思い出させるアナログレコードを模したクラフトを置いたりして、ディスプレイ担当者のレイバン愛が滲み出てくるようなプレゼンテーションになっています。
優秀賞 メルボメンズウェア 麻布テーラー広島店
いかにも堅実なテーラーであることが感じられるアイテムのセレクトとコーディネートができています。特に胸元をボリュームアップし立体的に見せるタイの扱いは他のメンズ専門店の見本にもなると思います。また細部にまで行き届いた商品の丁寧な気遣いが、極上質な素材感と相まって仕立ての良さと技術の確かさを感じさせています。また全体の色調を抑え、あえてタイ以外に色を使わなかったことが、いかにもリッチな雰囲気を醸し出しています。
SDGs賞 銀座タニザワ 本店
革製品は一部の動物愛護団体などからは非難されていますが、サステナブルという観点からは他の石油由来のものよりはるかに長持ちするし寧ろ経年変化を楽しむことができる。そうして最後には土に還ることができる自然素材であるので、極めて地球に優しいアイテムです。その趣旨を分かり易くビジュアルに表現した秀逸な演出になっています。なんといっても植物や枯れ木等の自然物がとてもリアルかつ精緻に作られており、極めて完成度の高いプレゼンテーションです。またそのパワフルな装飾に負けない本格的な鞄にも目を見張りました。
ストーリー賞 銀座マギー OS Of STYLEウィング上大岡店
何より発想が新鮮ですね。ウインドウ全体で楽しいストーリーが展開され、つい店内に足を踏み入れてしまいたいと感じるディスプレイです。
楽しさの演出だけではなく、訴求商品の求心柄のニットワンピースのモノトーンに対し背景に明るい赤×黄を使うことで、訴求商品を際立たせようという緻密な計算も見て取れます。
またウインドウに紙を貼って作ったサーカス小屋を思わせるフレームや、ピエロやチーターに被らせている帽子や杖などのクラフトも丁寧さが感じられ完成度が高いとても優れたディスプレイです。
ライティング賞 メーカーズシャツ鎌倉 鎌倉本店
今回の応募ディスプレイの中で最もライティングの上手さが際立った作品です。まずのっぺりとしたただ明るいだけの照明計画ではなく、陰影のメリハリのつけ方が素晴らしいので、遠方からのお客さまの視線を掴むこと間違いなしのライティングです。
暗いバックに映えるように訴求商品を淡いベージュを主体としたカラーコーディネートにしたことも、より効果的なプレゼンテーションとするのに大きく貢献しています。
入賞 イワキ イワキメガネ 青葉台東急スクエア店
全体を通した紅白の色使いに折り鶴とブランドロゴのゴールドがめでたい正月の雰囲気を十分に醸し出しています。またフランス発のブランドらしく中央に配した扇のトリコロールがアクセントとして効いています。左右対称の空間構成も、煌びやかな中にも落着いた日本の正月にふさわしい印象を作り出していて、お客さまに好感を持たれるディスプレイに仕上がっています。
入賞 イワキ イワキメガネ新宿京王店
白×黒をベースに赤のアクセントが効いた目を引くディスプレイです。正月商戦の演出にもかかわらず、シャープなイメージで作られていて、とても新鮮で未来感のあるものになっています。ブランドロゴに見立てたブラック&ホワイトの色遣いの中で、真っ赤な矢印がアクセントとしてアイキャッチャー効果の高いプレゼンテーションになっています。
入賞 イオンモール新小松 212KITCHENSTORE店
「そうめん・つけめん・今日、何めん?」のPOPが興味をそそるディスプレイです。暑い夏を乗り切るためというテーマを冷たい麺類をクローズアップすることで上手く表現しています。涼し気なブルーを主体とする色使いもこのスペース全体をまとめる効果を果たしています。一つだけ難を言えば、テーブル上に商品が隙間なく陳列されていて、若干ポイントが散漫になってしまっています。もう少し間というものを考えたら良いと思います。
入賞 新宿高野 立川ルミネ店
スイカ型のパッケージをまとめて陳列することで、遠目からのアイキャッチャーとして効果大です。
またたらいや提灯、祭の団扇等の演出ツールが盛夏の季節感を十分に表現していて、食欲を刺激するディスプレイです。あれこれ見せようとせず、訴求アイテムを絞り込むことが効果的なプレゼンテーションにつながるという好例です。
入賞 ジー・エム・ティー Jalan Sriwijaya G.H.BASS丸の内オアゾ店
壁面陳列全体で一つのブランド、且つ一つのデザインのシューズ(ローファー)でまとめるという大胆な訴求に感心しました。ブランドの強みを最大限に活かした展開だと思います。棚に飾っている「TAKE IVY」の写真集もBASSのローファーを好む客層の心を惹く効果的なギミックになっています。
ただブランドサインをもう少し目立つ場所に、且つ複数置いた方がより訴求力が増すのではないでしょうか?
入賞 ドレスメーカー学院 購買部
雪をイメージしてホワイト&シルバーに統一した色使いがお客さまの目を引き付ける効果的なプレゼンテーションになっています。加えてふわふわ触感の素材を多用したことでより雪というイメージを強く感じます。またブルーのリボンやかぎ針、POPの文字が程良いアクセントになっています。
「Let it snow」というPOPの書体も洒落ていますね、有名なクリスマスソングが聴こえて来そうです。
入賞 ドンク 上本町近鉄店
ハロウインの楽しい雰囲気がストレートに伝わってくるディスプレイです。オバケ型のクロワッサンを使ったツリーもアイキャッチャーとしての効果大です。商品の説明POPも分かり易くて訴求力があります。
ハロウインらしい色使いでまとめたことと、訴求アイテムを絞り込んだことが成功の要因ですね。
スタッフの皆さんが楽しんでディスプレイ作りに励んでいる様子が見て取れるコーナーになっています。
入賞 ホットマン 銀座松屋店
メインのテーブル上のディスプレイだけでなく、後方の壁面棚の見せ方にも気遣いが感じられ、売場全体でのクリスマスの雰囲気作りができていると思います。テーブルでのディスプレイはクリスマスらしく、赤×白×緑の商品をそれぞれ塊で見せたことで、全体としてのまとまりが感じられるようになりました。
ただ3色をそれぞれ上・中・下段で縦に揃えてストライプ状に見せればもっと訴求力が増すはずです。
入賞 ルピシア 倉敷店
全体の色調を統一したことでディスプレイにまとまりができ、コーナーとして遠目からの目を引く効果が高いプレゼンテーションになっていると思います。同時にティーカップのセットやアフタヌーンティーをイメージしたグッズなどを置いたらより雰囲気が増すのではないでしょうか?それらのグッズは他の紅茶アイテムにも流用できるのでコスパは悪くないかと。
それと市場をイメージするなら、籠よりも木箱の方が良いのでは?
入賞 ワシントン靴店 銀座ワシントン横浜ポルタ店
テーブルの白とシューズの青が爽やかなイメージを表現できています。
クリスマスシーズンにありがちな「赤・緑・金」の色使いではなく、あえて「白×青」を取り入れたことで、自店のオリジナリティと横浜という地域性の表現という点で、他店との差別化に成功していると思います。
とても新鮮で爽やかなクリスマス演出です。
今回で20回目となるJSA大賞ディスプレイコンテストは、昨年にも増して企業やお店の関心が高く、応募ディスプレイ数はコロナ前をも超える過去最多となりました。それはコロナ禍の経験から新たな販売形態を模索する中にあって、従来の接客一辺倒だったものから売場でのプレゼンテーションの重要性を感じているからだと思います。
変わらず高いレベルを維持し続けている企業、改めてプレゼンテーションの大事さに気付き取り組んだ企業、また新しく参加された企業、また新たな学生の皆さんの応募も増えました。接客だけに頼らずお客さまが見るだけで伝えられるものにする手立てが視覚に訴える販売手法です。
また数年に及んだコロナ禍において、様々な課題を乗り越えての応募とあって皆レベルの高いディスプレイばかりで、審査員の皆さんを悩ませました。その結果、大賞については最後までイワキさんの2店が譲らず、一企業から2店の受賞となりました。
ひと目で自店の品揃えの特徴や商品情報を理解してもらえるビジュアルなプレゼンテーション=VMD (陳列の工夫、ディスプレイやPOP等)は、これからも特に重要な分野だと思います。
接客だけに頼らずにお店が伝えたいことを視覚で表現するには、以下の3点を踏まえたしっかりとした事前のVMD計画が不可欠です。
①自店の特長(ターゲット・MDコンセプト)や商品のセリングポイント(デザインや素材の特長・商品の使用背景や用途)を確実に理解すること。
②①をお客さまに伝えるためのツール(演出物・POP)を用意すること。
③再現性のある(誰にでもできる)ものにするための分かり易いガイドと、次の施策につなげるための効果測定体系を作ること、の3点です。
どれもみな大切な項目です。VMDの活用は、今ある仕組みの中でちょっとした発想を変えるだけで今日からでも始められることが沢山あります。そのVMDに対する社内の意識改革のツールとして、このディスプレイコンテストを活用して欲しいのです。コンテストをきっかけに社内でプレゼンテーションの重要性と効果的な方法論について話題にして欲しいのです。そういう意味で、復活二年目となる今年度(5/29スタート)の実務者研修では、従来の表現テクニック一辺倒ではなくVMD計画の作り方と効果測定の仕組み、社内プロジェクトの進め方など、より戦略的かつ実践的なカリキュラムを用意していますので、現場の販売スタッフだけではなく本部の企画スタッフや販促担当者などの参加も期待しています。
今年も受賞作以外のディスプレイにも、ご希望があればフィードバックコメントによる具体的なアドバイスを差し上げたいと思っていますので、是非ご活用ください。