大賞 イワキ イワキメガネ広尾プラザ店
今回は総評でも述べましたが、株式会社イワキからの応募作がどれも粒ぞろいでした。どれを選ぶのかが最後まで決まらず、審査員が協議した結果中でも特に優秀な3点を選び大賞としました。赤×緑×白の三色がとても美しいハーモニーを見せています。
又色使いだけでなく、それぞれの演出ツールや商品のレイアウトも、下段の左右対称形のように規則性を感じさせながらも、上段では微妙に形や位置を変化させるなど、単調になりすぎず、程よい空間構成ができていて、お客さまの視線を集めることができています。メガネはそれ自体目を引くことができない商品ですが、その商品の所までお客さまを引き付けることのできる効果的なプレゼンテーションです。
大賞 イワキ イワキメガネ町田店
クリスマスシーズンにあえてブルーと白の配色を使用したことが、逆に他店との差別化という効果をもたらせたと思います。
また調光レンズの変化をクローズアップするためにあえて白と淡いブルーという特に強い主張がない色を選んだのは、本来のディスプレイの商品自体を際立たせるという目的を理解している証であると評価しました。
上品な淡い色調が、商品の上質さや高級感を醸し出している点でも優れたプレゼンテーションになっています。
大賞 イワキ イワキメガネ横浜ランドマーク店
ブランドの持つ洗練された高級感と爽やかなイメージがよく表現されているプレゼンテーションです。
冬~クリスマスのシーズンでは、周囲は赤×緑×金などを代表する煌びやかない色が氾濫しますが、ホワイト&ブルーの配色は、ブランドの個性をより際立てており、お客さまの目を引き付けること間違いなしです。
比較的小さくて繊細な眼鏡フレームや透明であまり存在感が薄いレンズというアイテムを、拡大して写真パネルにしたのも目を引く工夫として評価できます。
優秀賞 ホットマン アトレ大森店
クリスマスシーズンの定番カラーである赤×緑×白をバランスよく配したアイキャッチャー効果の高いディスプレイです。
ややもすると沢山の商品を陳列してしまいがちですが、色を整理することと商品同士に程よい空間を持たせることで、最低限の商品数できちんと商品情報を伝えています。
また陳列されている商品は必ずイラストの刺繍部分が中心に来るように畳まれており、きめ細かな気配りが感じられました。
加えてそれぞれの色をまとめて配置することで、イラスト同士が喧嘩しないような工夫もされていてとても好感が持てました。
アイデア賞 銀座マギー 渋谷東急本店
赤と白のコントラストをうまく利用して、クリスマスらしさを効果的に演出できています。
オリジナルのショッパーを利用した演出はお客さまの目を引き付けることは間違いないでしょう。ショッパーを円形に配置したことでスケールや広がりを感じさせて、より存在感のあるウインドウになっています。
ショッパーの柄をボディのワンピースの柄にしたアイデアには感心しました。今回では最もオリジナリティがある演出ツールだと思います。また持ち手部分の赤がアクセントとして効いています。
ストーリー賞 メーカーズシャツ鎌倉 鎌倉本店
スポーティなテイストをうまく表現したディスプレイです。
ジャケット&パンツのオフィスカジュアルをボタンダウンのシャツを主役に、ストライプのタイ、コットンのパンツ、ベースボールキャップにスニーカーをコーディネートして、スポーティなスタイルが完璧にコーディネートされていることで、事前に着こなしのストーリーがシッカリできていることが感じられました。まさに商品を知り尽くした演出計画です。
背景のグランドのタペストリーも良い雰囲気を出しています。
入賞 かねまつ 銀座かねまつ新宿小田急店
チェックの赤いパンプス以外に色を使わなかったのが、インパクトのある目を引くディスプレイになったことのポイント。
全体をウインターホワイトで統一し、中央に配置したパンプスと同柄のポシェットがとても効果的なアクセントになっています。
方やエレガントでフェミニンな白のアイテムに方やスポーティなチェック、異テイストのアイテムが違和感なく見られるのは、きっと双方のターゲットが一緒だから。
ディスプレイを考える時のポイントは、何か一つ共通のテーマを作ること。それができています。
入賞 サザビーリーグ アフタヌーンティ・リビング豊田T-FACE店
丸太を模した陳列台とそのナチュラルな色が、商品のイエローをより際立たせる効果に繋がっています。陳列台や木製の人形、木製棚など、ディスプレイ全体のナチュラルなテイストに、
食器のイエローと中央の赤い南天の実の赤がアクセントとして効いています。
商品イメージをうまく表現している訴求力のあるディスプレイです。
入賞 杉野学園ドレスメーカー学院 杉野学園購買部
光るものは、目を引くディスプレイにするための重要なファクターの一つ。
キリスト誕生のストーリーを、イルミネーションで表現するのはとてもいいアイデアだったと思います。
目を引く訴求力のあるプレゼンテーションになったのは、イルミネーションの電球を一つ一つていねいにボックスに取り付けるという地道な作業の賜物ではないでしょうか。
入賞 田中興産 Luxe armoire caprice新宿高島屋店
ブランドのテーマであるパリの街角のイメージが良く表現されています。
花、花器、古いトランクなど、演出ツールのヴィンテージなテイストが、商品の持つヨーロッパのクラシックな雰囲気と良くマッチしています。
見えている商品のややスモーキーな色調と、ステージ全体を包むダルなイメージがとてもしっくりとまとまって見えています。
入賞 ドンク 札幌大丸店
食品演出では必須のボリューム感と遠目からのアイキャッチャー効果を両立させた優れたディスプレイになっています。
ボリューム感を出すように高く積み上げ、商品が多いことで雑多な感じがしないように、パッケージや敷布、紙タグ、後ろのポスターなどの色を赤と白に絞り込んだことが成功の秘訣。
多くのアイテムを陳列せず、パネトーネとシュトーレンの2アイテムだけにしたのも訴求効果を高める重要なポイントです。
入賞 メルボメンズウェアー 麻布テーラー難波店
シャツの色柄にマッチする最適なネクタイのセレクトが良くできています。
特に色だけをシャツの色に合せてストライプ柄に統一したことで、それぞれのシャツの違いを際立たせることができています。
特にシャツとネクタイ以外のアイテムを陳列しないことが、かえって目を引くウインドウになったポイントになっていると思います。
入賞 山野楽器 銀座本店管楽器フロア
北ヨーロッパの落付いたクリスマスの雰囲気が、訴求商品の確かさと品の良さを醸し出しています。深い緑のガーランドと木のぬくもりを感じさせる演出小物がクラシックなブランドコンセプトにマッチしています。
クリスマスだからと言って良く見るワンパターンのかわいらしいイメージを強調せずに大人のテイストでまとめたことが、かえって目を引く演出になっているように思います。
商品の特性に合わせた演出ストーリーの設定が、効果あるプレゼンテーションにする秘訣です。
入賞 ルピシア イオンモールつくば店
中央のクリスマスイメージのオブジェを中心に、大きな店頭テーブルにもかかわらず、統一した演出によくまとめていると思います。
陳列の高さに変化を付けたり、程よいボリュームの陳列量だったり、全体を赤とグリーンにまとめたりと、よく考え、事前準備をしっかりやられた演出計画です。
それぞれのアイテム同士の感覚を少し空けて、区分を明確にしたのが良かったと思います。
またWithコロナの状況で色々と大変な苦労を乗り越えての応募とあって、皆レベルの高いディスプレイが数多く集まり、ここ数年と比較しても一番ではないかというのが審査員の皆さんの共通した感想でした。
当コンテストをきっかけに会社を上げてプレゼンテーションのレベルアップを図ろうとする企業が年々増えていますが、密になることでコロナ禍ではお客さまに敬遠されがちな従来の接客に代わる販売手段として、ディスプレイやPOP等ビジュアルでの情報提供を重視している事の表れだと評価しています。
特に今回は株式会社イワキさんの応募作には皆レベルの高いものが多く、大賞の候補が複数あり審査員も頭を悩ませた結果、中でもレベルの高い3点を揃って大賞とすることにしました。これは18回を数えるコンテストでは初めてのことです。
イワキさんだけでなく、ホットマン、メルボメンズウエア、ドンク、銀座マギー、田中興産、山野楽器さんなど、他にも多くの企業が全社で取り組まれています。
売場はメディアです。自店の伝えたいコトをお客さまに伝える最大の情報発信機能です。
特にコロナ禍でお客さまとの接触が制限されがちな状況では、ひと目で自店の品揃えの特徴や商品情報を理解してもらえるビジュアルなプレゼンテーション(陳列の工夫、ディスプレイやPOP等)は、特に重要な分野だと思います。
お客さまに売場や商品の情報をお伝えする手段としては、接客はもちろんVMDや売場作りをはじめ、インターネットを活用した公式HPやSNS、個々人による顧客対応などが考えられまが、Beforeコロナに比べ、Withコロナ時代では接客の割合が減り、その他の分野の構成が増えるだろうと考えられます。
接客だけに頼らずにお店が伝えたいことを表現するには、主に3つの方法があります。
ひとつ目はVMDの仕組みを使うことです。
ふたつ目はWEBを中心とした、様々な情報提供ツールの活用です。
みっつ目はスタッフ個人によるSNSなどへの取り組みです。
どれもみな大切な要素ですが、WEBの活用や個人での取り組みは、社内システムの再構築や個人評価の仕組み作りなどが必要で直ぐにできることではありません。
VMDの活用は今ある仕組みの中で、ちょっとした発想を変えるだけで今日からでも始められることが沢山あります。
そのVMDに対する社内の意識改革のツールとして、このディスプレイコンテストを活用して欲しいのです。コンテストをきっかけに社内でプレゼンテーションの重要性と効果的な方法論について話題にして欲しいのです。
今年も受賞作以外のディスプレイにも、ご希望があればフィードバックコメントによる具体的なアドバイスを差し上げたいと思っていますので、是非ご活用ください。
※詳細は今号15ページに掲載。