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総会
平成28年度
平成28年5月27日、東京・元赤坂の明治記念館において、「第28回通常総会」を開催しました。
野吉太郎会長のあいさつに続き、専務理事から平成27年度事業報告並びに決算報告、役員の選任、今年度の事業計画及び
収支予算書などの説明があり、すべて承認されました。


   特別講演会2016
『いちばん未来のビジネス-高齢者の視点から』

  上智大学総合人間科学部心理学科
   同大学院心理学専攻 教授 黒川由紀子さん


黒川由紀子さんプロフィール
東京大学教育学部卒業。保健学博士。臨床心理士。
上智大学総合人間科学部心理学科・同大学院心理学専攻 教授。
慶成会老年学研究所研究員。臨床心理学を専門とし、高齢者の心理療法、家族への心理支援を研究している。
急速に高齢化が進む日本において、高齢者の存在を無視することはできません。こころのケアの専門家として、これまで多くの高齢者と向き合ってこられた、上智大学総合人間科学部心理学科教授の黒川由紀子先生。高齢のお客様への理解を深め、専門店が果たすべき役割について貴重な提言をいただきました。



平成27年 5月23日


 特別講演会2015
『安倍官邸の正体-経済政策の行方』

  時事通信社 解説委員
   田ア史郎


中央大学法学部卒業後、時事通信社入社。内閣記者会、外務省記者
クラブから平河記者クラブ。自民党田中派、竹下派、橋下派を中心に
取材。政治部部長、編集委員、解説委員を経て解説委員長。定年に伴い平成22年から解説委員。TBS系「ひるおび!」をはじめ、TV出演多数。著書『小沢一郎氏との訣別』
(文藝春秋)、『梶山静六 死に顔に笑みをたたえて』(講談社)他。


平成26年 5月22日



 特別講演会2014
『シャネルのリテールヴィジョン』

  シャネル株式会社 代表取締役社長
   リシャール コラス


1953年、フランス生まれ。パリ大学東洋語学部卒業。在日フランス大使館勤務、ジバンシィ日本法人社長などを経て、1995年から現職。フランス商工会議所会頭、欧州ビジネス協会会長も務める。著書に小説『遥かなる航跡』『波―蒼佑、17歳のあの日からの物語』他、作家シャン・サ氏との共著『午前4時、東京で会いますか?』などがある。日本政府より旭日重光章、仏政府より国家功労勲章シュバリエ、レジオン・ドヌール勲章。2014年3月、国家功労勲章オフィシエ受章。

平成25年 5月23日



 特別講演会2013
『安倍政権下の政治・経済と参院選の行方』

  時事通信社 解説委員
   田ア史郎

平成24年 5月25日


 特別講演会2012
『商いの原点―ものづくり、ひとづくり、売りづくり』

  タビオ株式会社 代表取締役会長
   越智 直正

1939年、愛媛県西条市生まれ。中学卒業後、大阪の靴下問屋に入社。68年、「ダンソックス」を創業。77年、株式会社ダン(現タビオ株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。84年、福岡県に「靴下屋」1号店。2000年、大阪証券取引所二部に当時はなかった靴下専業企業としての上場を果たす。02年、英国ロンドンに海外初となる店舗を開店。08年、タビオ椛纒\取締役会長に就任。趣味は読書。著書『男児志を立つ―実践漢詩五十撰』(致知出版社)


平成23年度


特別講演会2011
『TOKYO消費トレンド』

  伊藤忠ファッションシステム株式会社 マーケティングマネージャー
   川島 蓉子


1961年、新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。84年、伊藤忠ファッションシステム株式会社入社。ファッションという視点で消費者や市場の動向を分析し、国内外の企業とブランド開発・デザイン開発などのプロジェクトを行う。

平成22年度

「上質を目指す専門店」をテーマに、協会顧問 奥住正道先生コーディネートのもと、株式会社丸山海苔店 丸山邦治社長、株式会社ワイ・インターナショナル 吉田靖夫社長のお二人からお話を伺いました。


1890年(明治33年)、吉田朝蔵氏によって埼玉県志木市で創業された吉田自転車。その歴史は日本の自転車の歴史とともにありました。
ターニングポイントはスポーツサイクルへの進出です。ワイ・インターナショナルへ社名変更した平成8年以来、スポーツサイクル専門小売店として大きく発展していきました。現在は赤坂など都心にも大きな店舗を構え、日本全国に19店舗を展開。「Y’s Road」ブランドで、セミナーやツーリングなど、スポーツサイクル文化の発信と啓蒙に努めていらっしゃいます。

安政元年、日本橋で創業以来、156年の歴史を持つ丸山海苔店。ミシュラン三ツ星「すきやばし次郎」をはじめ、全国約3,000店の高級寿司店御用達の老舗海苔問屋です。
「品質を最優先としてお客様の心に応え、食文化の向上を図り社会に貢献する」を社是とし、1975年から始めたお茶事業ブランドが「寿月堂」です。昨年フランス・パリに海外第1号店がオープン。地元マスコミにも大きく取り上げられました。
レストラン「築地ボン・マルシェ」で築地文化の紹介や市場ツアーなど、新たな取り組みをされています。


               


平成21年度
        
提言「2020年の専門店の姿

  この提言は、日本専門店協会の企画委員会で13回にわたり討議された内容・趣旨をベースに、株式会社奥住研究所の
  小野原雪雄社長が中心となってまとめられたものです。平成21年5月18日、通常総会後に行われた特別講演会において発表  された内容の概要をご紹介します。

            T はじめに(本提言の趣意)


 20世紀、私たちは「物財の豊かさ」を満たすことで幸せの実現をはかってきました。しかし、情報化社会を迎えた21世紀、人々の幸せは「物財の豊かさ」ではなく、「精神的満足の大きさ」の実現に変革しています。これまで、物財の豊かさを実現させるため、専門店は店舗をつくり、商品を提供することによってその役割を果たしてきました。人々の精神的満足、すばらしい経験価値のため、顧客より半歩先を歩み、変革を先導することこそ、2020年を迎える専門店の果たすべき役割と考えます。

                  U 専門店の経営哲学

1 人間主義経営
 モノを仕入れて販売し、店舗を出店させて企業規模の拡大を図ってきた時代は終焉を迎えました。これからの専門店は、商品やサービスに独自の魅力を付加し、オリジナル性を主張して、潜在する消費欲求をも掘り起こしていかなければなりません。この独創性には心の底から発信していく力強さが必要とされ、そのためには人間を基軸においた経営哲学が求められています。
 
2 性善説で成り立つマネジメント
 人間主義経営とは、仕事を通じて向上しようとする一人ひとりの意欲を認め、個性を生かすマネジメントのこと、すなわち「人間」を育てることに経営戦略の基盤をおいています。従来のようなマニュアルによる一律管理とは異なる反面、社会ルールや社内規範に違反する行動に対してはキッパリ罰されるメリハリのある統治が必要であり、そのためのマニュアルや規範・ルールの作り方には工夫を要します。

3 「出る杭は認める」温かい企業文化と冷徹な資本効率経営
 社員一人一人が性別や地位・役割に関わりなく、自由に発言できる「出る杭を認める」温かさ。それと同時に、資本効率の高い経営を冷徹に実現させることも必須の課題です。効率化経営を支えるためには、ITシステムの構築に積極的に挑戦することが肝要となります。

                  V 専門店の経営戦略

 「わざわざ行く店」にする
 お客様は、モノの購入より、むしろその店でどういう問題解決をしてくれるのか、どんな楽しい体験ができるのか、等の経験動機を満たしてくれるか、を重視するようになりました。商品だけでなく、店の設え、接客会話、価格設定、サービス内容、情報発信等、他にはない独自性が貫かれ、顧客を「ファン」にさせる魅力に満ちているかを考えます。

 「面白い会社を目指して」弛みないイノベーション
 過去の成功体験や世間体にこだわることなく、社員みんなが面白がって仕事をする自由な熱気や強い信念をお客へ伝えることで、お客様も面白がって来店され、店も半歩先をいく元気をもらうことになります。仕事を面白くするには、自分たちで仕入れて、自分たちが販売し、売れたときの感動が一番で、報償制度などもモチベーションアップに役立ちます。権限を分散して、社員みんなでわいわいがやがや、やっていける環境がイノベーションに火をつけて、前進するエネルギーとなっていくはずです。

3 現場主義(トップが現場にはいる経営)
 イノベーションはつねに現場発(顧客発)、トップも現場に入ることです。それは現場社員のモチベーションアップにつながり、持てる能力を全開させる動機づけになります。第二に、短期の業績目標と中長期目標、二つの目標を達成させること。人材の活用は個人ベースで行うことが望ましく、苦境を乗り切るパワーはしくみ化された組織力で進めることです。

4 ボーダレス経営
 変化に疎い硬い組織では機会ロスを生みやすく、変化を乗り切ることはできません。解決するには階層のないフラットな組織が望まれます。役職や性別あるいは、雇用形態などに関係なく社員一人一人が自由に発言し、相互に学び合い、切磋琢磨できる環境から変化に対応できる力が沸いてくるでしょう。均一・均質商品をつくる製造業と異なり、多様な顧客欲求に応えることを「商品」とする専門店は元来、多彩な人材、多様な意見が馴染みやすい業態です。したがって、標準化作業に向いた兵隊組織と呼ばれるピラミッド型組織から可能なかぎり脱皮していくこと、ボーダレス化が組織の風通しをよくし、変化対応を素早いものにします。
1) 男性と女性のボーダレス化
 専門店に限らず、顧客の80%は女性であるのに、企業運営を独占的に男性が支配しているのは不自然です。とくに決定権限をもつ管理職での女性活用の範囲をもっと拡大すべきでしょう。日本産業界の女性役員比率は全産業平均で1.8%にすぎず、米国46%、ドイツ、スウェーデン34%と比べても一考の余地はあります。
2) 顧客と企業のボーダレス化
 顧客が生産に参画するというプロシューマー化が急速にすすんでいます。(プロシューマーとは、消費者(コンシューマー)が生産者(プロデューサー)と一緒になって消費者の欲しいものを生産するようになる、という仮説から、2語の合成語としてプロシューマーと表することを1980年に、A・トフラー氏が氏の著書・「第三の波」で提唱。)「顧客のことは顧客に聞け」というまでもなく、顧客と生産者、顧客と専門店が一体となって協働し、顧客欲求に応えるしくみ化が求められています。顧客との協働は、ITネットワークの進展につれてすすめやすくなっていますが、顧客変化の激しさに加えて、売る側より顧客の方がくらしについての豊富な知識と経験を積んでいるので、顧客のプロシューマー化は今後、一層すすんでいくでしょう。
3) 製造と販売のボーダレス化
 利益率の高い商品そのものの開発については積極的でも、一部企業を除いてはまだ戦略的同盟によるSCM構築には積極的でない現状にあります。マーケット変化への迅速な対応、利益のスクイズ(絞り出し)、いずれも製・配・販の協働化(一体化)なくして実現不可能とさえいってよく、専門店企業にとっても今後、無関心を続けられない課題の一つです。
4) 上司と部下のボーダレス化
 今日のような閉塞感を破壊するには、思い切って若者に責任を持たせ任せるべきで、上司、部下の伝統的境を大胆にはずすことでこそ、活路は開かれるでしょう。上司と部下、階級性のないマネジメントの実践は、変化を先導する専門店企業にとって必須条件の一つです。
5) 正社員と非正社員のボーダレス化
 人事管理上、「同一価値労働同一待遇」の原則を生かすのは、だれからも理解されやすく公正です。最近の傾向として正社員を希望する傾向が強いのですが、雇用形態にこだわることなく、社員は仕事のやりがいなどの価値観を求めています。同じやりがいが得られるならば、その仕事については均等待遇であることが自然な考え方です。人件費アップを覚悟しなければならないことがこの問題の進展を阻害させているともいえますし、正社員を必要に迫られて辞めさせなければならないケースも発生しますが、そのときの決断は非常な辛さを伴うので、できるなら解雇のやりやすい雇用形態を望む声も見受けられます。加えて、社会保険の負担問題も重い課題です。人件費コストに見合った仕事をするしくみになっているのか、その冷徹な監査の視点にたって、制度改革をすすめていくことが必要です。また、非正社員が望む働く時間、遊ぶ時間の自由性については、働き方の契約選択肢を複数設けることで解決されるでしょう。正社員、非正社員、総ての自己のライフスタイルに合った働き方の選択が自由な制度こそ人間的であり、働き方の自由選択志向は雇用形態に関係なく若者社員が「雇用契約」を結ぶことで、現在、ボーダレス化を難しくさせている諸条件はクリアされていきます。

5 グローバル化
 今後、持続的に成長性を維持していこうとするならば、海外市場への進出も検討されるべき課題の一つです。しかし、異なる文化や価値観をもつ海外進出は容易ではありません。成功要因は、@異文化経営の腕を磨く、A資本開国の度量をもつ、B海外で移植・移転できる技術・ノウハウをもつこと。これらのテーマは国内におけるイノベーション・テーマと共通する側面もあることを忘れてはいけません。日本の専門店企業としての強み、きめ細かい人間主義経営の企業文化を伝えることは、どの国からも歓迎される要因の一つであり、その企業文化を現地の人々に受け入れられるように「翻訳ノウハウ」をもつことが必要です。人件費の安価なアジア地域へ生産基地として進出することが多いのですが、これからはむしろ、海外から日本のモノづくり技を買いにくる機会を促進すべきです。日本を訪れた海外の人々に、日本の技、惹いては日本人の心を知ってもらう役割を担うことこそ、専門店企業の社会的役割の一つとして位置付けられています。

                      W 専門店のマーチャンダイジング

1 「マーケット・イン」から「カスタマー・イン」へ
 企業側主体の考え方で商品やサービスの提供を行う「プロダクト・アウト」のMDは規格大量生産時代の方式であり、それが顧客起点の「マーケット・イン」によるMDに変わってきたのは、80年代のことです。今日では顧客一人一人の欲求に応ずる「カスタマー・イン」のMDが求められています。大切なことは「価格決定力」を専門店がもつこと。わが店のオリジナリティを発揮するうえでも必要ですが、従来発想の「バイイングパワー」によるのではなく、「価格は顧客が決める」時代なのですから、顧客を知る専門店が決められる力をもつべきといえます。

2 オーナーシップとオリジナリティ
 自店の顧客一人一人に応えられるMDこそ専門店の最も得意とする分野ですが、多くの専門店が意図しているオーナーシップとオリジナリティにあふれた商品提供を実現させるには、まず、オリジナルコンセプトありき。時代環境あるいは、競合環境が変わっても振れないコンセプト、売れ筋追求で同質化に陥らないコンセプトを維持する一徹さが他業態と異なる専門店の経営スタイルです。専門店はお客が店に入るとき襟を正すくらいの強いコンセプト・メッセージを発信することが大切です。コンセプトを維持するには自社の強い意志に支えられるのは当然として、取引先との関係を公正かつ温かい関係にすることも欠かしてはなりません。専門店企業が全面的にリスク負担をし、取引先との信頼関係並びに協力関係を深めることです。

3 接客がなくても売れる経営
 「バイイングパワーによる力の押し付け」の発揮は、専門店企業には似つかわしくなく、パートナーシップ時代の今日、旧い手法といわねばなりません。多様に変化する顧客に向かって製・配・販の三者がすべての経営データを公開共有し、一体となってMDマネジメントを展開すること。所謂、戦略的SCM(サプライチェーンマネジメント)構築はその代表的取組みの一つを意味しています。戦略的同盟によって、店別アイテム構成、店頭在庫、投入・補充計画、一品一品の希少性維持をデータベースで構成することにより、顧客満足を高めつつ、「接客のない売上と利益」が実現されます。

 ストーリー・テラー(話を伝えられる人)を育てるしくみ
 魅力ある接客と商品販売でえられる専門店の「成果」は、売上高ではなく、顧客のわが店に対する共鳴という価値を得ること。その商品はわが店の顧客を理解し、オリジナルコンセプトの主張・主観がはっきりしていること。この「主張・主観の押しつけ」に対して、共鳴する顧客がわが社わが店の「ファン=共鳴者」になることであり、このファンがわが店の中核となって店の存在を広げてくれます。わが店のオリジナル性は時代と共に顧客の求めに応じて変化していくものであり、商品は勿論、人・情報・会社の風土、生き方にまで影響を及ぼすほど重要です。専門店のMD政策の狙いは拡販にあるではなく、ファン=共感者づくりにあることが基本。わが店の主張とその絶対価値が何か、その謂れは何か、さらにはつくる人の生き方まで、じっくり伝えること、つまりわが店、わが商品の「ストーリー・テリング」が必要です。

5 専門店による商品研究開発投資
 専門店は顧客がほれ込むくらいの「機能的価値」が必要です。つまり、機能的価値の創造とは新しい素材開発といった研究開発行為ですから、「商品開発研究所」といえるような研究投資にも目を向ける必要が出てくるのです。

                         X 人材育成

1 基礎教育の徹底
 第一にやるべきことは、専門店社員としての基礎教育の充実です。たとえば、接客の基礎などはその一例です。ロールプレーイング大会のような他流試合を通じて、取得レベルを評価し、取得レベルの目標化をすめることも社員のモチベーションアップに反映されます。今の若い社員は、数値化された評価の方が理解しやすく、こうした取り組みを積極的にすすめ、業界認定の「資格制度」や「レベル設定」などを検討していくべきでしょう

2 人事戦略の構築
 企業としてどういう人材を育成するのか、その方向性を決めることで、どういう「人」になって欲しいのか、その指針を示すこと。そのために必要な育成環境や待遇諸制度を整備すること。望ましい人材像は各企業の経営理念で異なりますが、例えば
@あまり反論などしない無難な人より自分の意見をきっちり発言できる人材。A自分のことばを豊富にもっている人材。顧客、社員に対してことばを多くもつことで、多様な気分、気持ちを伝えることが可能で人間関係を豊かにできる。Bルールを破っても「よい」と思ったら、咄嗟の決断ができる判断力・決断力・実行力のある人材。C管理職でも管理の職務だけに精を出すのではなく「商売の勘・感覚」が失せない人材。D会社の理念に共感できる人材。等が挙げられます。

3 人間を鍛える育成
 レベルの基準化とは、教育受講者が同じレベルに達することですが、今後、専門店企業で必要とする人材は「出る杭」です。そのためには一人一人の「不足の穴埋め教育」ではなく、強みあるいは人としての魅力を伸ばす人間育成や、いろいろなライフスタイルを体験できる機会提供が望ましいと思われます。たとえば、休暇をとって、無目的な海外の旅に出たり、趣味に没頭するといったいろいろな体験が自由に出来る環境に置くこと。そして、自分のことばで企業理念を顧客や社員に語り伝えることができるようにすること。そのためには到達目標の基準化・共通化はむしろ邪魔になるのです。たとえば、笑顔の作り方までマニュアル化したのは工業化社会でのことで、それは個性磨きより「型にはめる」ことが教育目標化されてきたからです。但し、社会人としての新人研修やシューフィッターとかメガネ技術士といった技術レベルがはっきり測れる仕事については到達レベルが基準化されその最高レベルを目指すことは悪いことではなく、今後もしっかり実行すべきです。
  
4 社会人基礎強化
 「社会人基礎力」とは2005年に経済産業省が職場や地域において多様な人々と仕事をしていくに必要な基礎力を称したことばで、思いやり、公共性、倫理感、基礎的マナー等、基本的な生活慣習を身につけることが狙いです。

 以上の3点が専門店としてなされるべき育成内容です。生活のプロ、生き方の個性をもつ顧客を相手にする専門店としては、人としての生き方が鍛えられる業界となり、「専門店企業に入ると面白い人間に鍛えられるそうだ!」と、若者が憧れ、就職したい会社のトップグループにランンクされることが専門店の明日を開く道につながるに相違ありません。

                Y 専門店のIT戦略

1 IT開発はトップマター
 たとえば、経理伝票処理の迅速化といった分野、「業務プロセスの省力化・効率化」は、「意思決定・判断の質的向上」、「販売力・収益力の向上」狙いの業務分野であり、専門店業界ではITを現場、乃至はITスペシャリストの問題と位置づけている傾向がみられます。これからは、1)現場の動きを素早くとらえる「リアルタイム・マネジメント」、2)会社や部門を超えて情報共有をすすめる「クロス・マネジメント」、3)顧客と双方向で情報の交換を行う「コラボレート・マネジメント」の3分野で戦略的に活用する必要があります。
 IT化しても勘頼りをやめられない、むしろ、勘が正しいことが多発する、という意見があり、確かに人間の勘に相当する答えはITから引き出すことは不可能です。論理的答えを出すのが得手なのですから、「ゴーサイン」を出させるのではなく、人間が「ゴーサイン」を意思決定するサポート役として位置づけることで、ITの役割ははっきりします。また、IT活用は、「課題解決型」になるので、何が問題で、その原因はどうして発生するのか、その因果関係を明確にしたうえでシステム設計に入らないと期待する成果はえられません。大切なことは「木を見て森を見ず」に陥らないこと。そのためにも経営視点からのチェックを要します。

2 リアルタイム・マネジメント
 仕入先と販売情報を共有するDCM(ディマンドチェーン)のしくみはコンビニ各社が整備していることはいうまでもありません。顧客ニーズの変化に素早く対応できることは、専門店を含む流通企業でも企業戦略のカギとなっています。このシステムでは店舗ごとのアイテムの陳列状況の把握も可能です。顧客ニーズを瞬時につかむことは専門店においても重要テーマであり、このテーマの解決が「人に頼らないで売れるしくみ」の入り口になります。

3 コラボレート・マネジメント
 コラボレートとは、自社内の組織横断のこと。たとえば、商品評価を社員全員が喧々諤々言い合えるしくみはその一例です。取引先等自社以外のネットワーク企業との意見交換、この2機能で、コラボレート・マネジメントは成り立ちます。この横断的な情報交換で、顧客が潜在的にもつ「買いたくなる理由」をつかむことも可能です。コラボレート・マネジメント機能は競争力アップ策であると同時に顧客満足促進にも役立つのです。

4 カスタマー・マネジメント 
 顧客との密着度を高める狙いがあるしくみです。従来は社員のオペレーション効率化を支えるためのIT活用を主体にしていたものを、顧客サービス向上に役立つIT活用分野に戦略的投資をすることが専門店らしいIT戦略であり、専門店企業のイノベーショ
ンテーマといえます。

     Z CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)
  
1 持続的経営
 経済産業省は小売業の社会的責任への対応として、1)安全・安心の対策、 2)環境対策、 3)まちづくりへの対策、 4)取引先への対策、 5)自治体の規制の在り方 をあげていますが、本提言としてはCSRの基本問題と環境対策についてふれておきます。企業は健全経営(適度な利益を継続してあげること)をつづけて持続的経営を実現させること。時代の変化から乖離して経営破綻すれば、顧客、社員とその家族、地域社会、関係企業に予想を越える混乱、不信によって精神的、物質的打撃を与えるのであるから、経営の持続性を維持する必要があることはいうまでもありません。

2 「分かりやすい経営」
 企業持続には、1)常時自己革新を繰り返す。2)企業は年をとっても経営の鮮度がおちないよう経営者養成に力をいれる。3)企業として地域社会をはじめ、社会貢献を心がけるべきです。そして、社会的責任を果たすには「わかりやすい経営」に徹することも必要です。「分かりやすい経営」とは社会の「公器」としての役割をしっかり果たすことが基本中の基本。それには、第一に社員の幸せを実現させること。第二は顧客の満足を満たすこと。第三は取引先の幸せを実現させること。第四に地域社会との連携を深めること。そして第五には株主に報いること。この5つの役割と責任を果たす企業から、偽りや嘘が生まれる隙はありません。この企業としての倫理感の実践は全社員の意識の積み重ねによって評価につながっていきます。

3 ソーシャル・マーケティングの実践
 ソーシャルマーケティングとは世界的マーケティング学者であるフィリップ・コトラー教授が提唱する説で、「企業は社会的機関である」という考えです。簡単にいうと、企業が社会に提供する商品やサービスは顧客や社会のために役立つ必要があるということです。商品を売り放しにするのでなく、売った後の影響について考えることも企業の社会的責任の一つです。

4 低炭素社会実現に向けた取り組み
 2008年1月、「2015年までの5年間でCO2などの温室効果ガスの平均排出量を1999年比で6%削減する」ことを日本国として公約した「京都議定書」の第一拘束期間が始まったことにより、各業界・企業で動きが活発化してきました。専門店の場合、店舗運営に必要な店内照明、空調や看板の電気使用による影響が大きく、店舗数の増加や大型化あるいは大型ショッピングモールへの出店によって環境負荷が増えないように省エネルギー設備の導入など様々な施策を必要としています。一店舗当たりの二酸化炭素の排出量は少なくはありますが、協会として共通認識づくりが必要です。

                    \ まとめ

 21世紀の経営はモノの生産による規模の拡大では顧客の満足を満たすことはできません。顧客のこころの満足を満たす楽しい経験の提供や、顧客が抱えるクオリティ・オブ・ライフ実現のための問題解決に役立つこと。そのためには、社員一人一人が、そうした行動に関心を抱く「志」と、時代変化を読み取り課題解決に通じる「構想力」をもつこと。企業はこうした自律できる人材を組織して、弛みないイノベーションによって、顧客要求に遅れてはなりません。専門店あるいは他業態との健全な「競争」で切磋琢磨し自社を鍛え、顧客要求に応えるためには、他企業との「協調・協働」を積極的にすすめる柔軟な組織経営を行う胆力を蓄えることが望まれます。
 私たちは、1)人間主義経営の徹底 2)オリジナリティの追及 3)イノベーションの継続
この3テーマを具現化させることが、2020年「必須の課題」です。時代の流れは、過度な「市場主義」が失敗であることを証してくれました。しかし、資本効率を求めるのは企業経営の基本課題であることを忘れずに、人に優しい企業を念頭におき、人の幸せを基軸にした企業経営によって、資本の効率経営を実現させることも専門店企業の使命です。私たちが目指す方向は平易ではありませんが、専門店が最も得手とする分野であることを自覚し、自信をもって2020年を迎えたいと思います。その実現の一助として、この提言が役立つことを願います。